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  • 美波

伝説の人リタ



バイロンヨガセンターにレジェンド的な存在が住んでいる。


その名はリタ。スイス出身の最年長。


ここのスタッフとして働くリタは、初めて目た瞬間に誰でも興味が沸いてしまうと思う。


なぜなら、寒くても暑くてもいつでもビキニだから。


所構わずいつもご機嫌に大声で歌ってるから。


何よりも、ハッピー全開だから。


***



リタとはこんな人。


寒いのが大嫌いで、夏と太陽を好み、雨が降れば恵みの雨と喜び歌う。


裸族。だから公共の場ではビキニを着る。

(冬はビキニに足元はUGG そしてくしゃみ 笑)


無駄なプラスチック消費に誰よりも厳しく、ゴミ分別のスペシャリスト。


ここに住んでおきながら、グルテンフリーは大嫌いと顔をしかめ、

冷凍食品のストック量は施設イチ。



記憶力が非常によく、人が敬遠する仕事を快く引き受け、自然に植物に動物に惜しみなく愛情を注ぐ。


(ネコ同士が喧嘩していたら声をあげて本気で怒りに行く)


新スタッフの名前をいち早く覚え、ここの一員であることを示してくれる。


その存在が人を潤し、みんなの心の拠り所的存在。


それがリタ。


言うまでもなく、私は初めて会った日からリタの虜。


***



リタは、毎朝何十人といるスタッフにハグとキスの挨拶を欠かさない。


その毎朝のルーティンで30分は使っているんじゃないか?と思うが、

距離の縮め方、コミュニケーションの大事さをリタから学ぶ。


何となくリタに話した小さな心配事を、翌日になって、そういえばあれどうなった?と聞いてくれるが、

私だけでなく他のスタッフの'今'も把握して会話に混ぜてくるから記憶力の良さには本当に驚く。


どうしても誰かにリタのことを話したくなってしまう。


それほどに奇特な人。


***



リタの朝ごはんの定位置は、広い空が一番よく見えるベンチ。


その時間にお邪魔して、リタに質問をしてみた。


故郷スイスからなぜオーストラリアにきたのか、パートナーとの出会い、どうやってこのヨガセンターに辿り着いたのか。


たくさん話してくれた。


わかったことは、ヒッピーであり誰よりもヨギーだということ。


***



リタは23年前にオーストラリアに来て、定住を持たずバン(日本でいうキャンピングカー)で国内を巡っていた。


そのバンは、ルーフテントが自慢の日本からの輸入車で、どこに行っても褒められて、

売ってくれないか?とよく声をかけられたそう。


そのバンがあれば居場所はどこでもよかったから、絶対に売らなかった。


***



バイロンベイに辿り着いた時に、他とは違うこの土地の魅力を感じ、近くに住むことにした。


程なくして、ここのセンター長のクラスに出会いヨガに夢中になった。


1日に何クラスも受けて、どんどんヨガにのめり込んでいったそう。


それが縁で、今ここに住む。


***



と、もっと踏み込んで話をしてくれたが、後はプライベートなことなので割愛したいのと、リタは謎めいているくらいがちょうど良い。


何よりも太陽が好きなリタは、寒い故郷スイスに帰る気は全くないらしい。


ただ一つ心残りなのは、妹が恋しいということ。


仮に誰かが亡くなったとしても、この世のお勤めが終わっただけで、魂は残ると思っていること、


だからずっとは悲しまないということ。



何かを決断することは大切だが、その過程でどうにもならないこともある、

そんな時はそれが運命だから従うしかないと考えていること。


これからの人生プランは未定だということ。


でも、思い立った時がその時だと考えていること。


これが、リタ的人生哲学。


***



リタは定期的にバイロンベイの象徴ライトハウス(灯台)を訪れて、この街を照らしてくれてありがとうとお礼参りをする。


道中は、必ずゴミを拾いながら登って、陰徳を積む。


カルマヨガを地で行く。


***



落ちてた鳥の羽を髪飾りに、ビキニやレインボーの服を纏って、センター中をうろつくリタを目撃すると自然と笑ってしまう。


誰よりも声が大きくて、しかめっ面をしていたと思ったら、何かを見つけて笑顔に変わる。


笑顔の理由は、咲いたばかりの花だったり、かわいい猫の仕草だったり、綺麗な夕日だったり。



今日も遠くから聞こえてくるリタの笑い声を聞いて、

私は間違いなくリタが恋しくなるなと、ここを出るまでの日数を惜しみながら数えてしまう。



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